IOCCC 2012の解説

全体の印象

例年は”Best of Show”として1作品を最優秀作品として取り上げていたが、この年は4作品に金賞・銀賞・銅賞・選外佳作という序列を与えている。 これはこの今大会限りの特徴である。

金賞となった[[2012/zeitak]]は、単純な挙動に対して、非常に高度な難読化がなされている。 数学やファイルフォーマットやシステムプログラミングのようなC言語以外の知識によらず、純粋にC言語プログラムの難読さで勝負した作品としては、IOCCCの中で一番難しい作品かもしれない。 腕に覚えがある人はぜひ解読に挑戦してほしい。

金賞以外は逆に、比較的気楽に楽しめる作品が多い。 銀賞の[[2012/hamano]]は、独自フォントを埋め込んだPDF生成によって、キャッチーな出力を実現している。 選外佳作の[[2012/endoh1]]は流体シミュレーションだが、コード自身を初期盤面としているところがIOCCC的な工夫としておもしろい。 他に、[[2012/blakely]][[2012/deckmyn]][[2012/endoh2]]なども興味深いと思う。

(注:[[2012/endoh1]][[2012/endoh2]]は本解説の筆者である私が作ったものですが、なるべく他人事のように紹介します)

個人的には、[[2012/hou]][[2012/kang]]が好みである。 前者は一見すると平凡な難読化だが、そこに隠された意味を知るとまったく平凡ではないことがわかる。 後者は非常に短いが、非常に繊細に作り込まれた謎コードで、どうやって作られたのか全然わかっていない。

入賞作品一覧

[[2012/blakely]]

Most GIFted expressions

もっとも天才的な式

[[2012/deckmyn]]

Most notable and best tool

もっとも注目すべきで、最高のツール

[[2012/dlowe]]

Best way to lose a life

命を落とす最良の方法

[[2012/endoh2]]

PiE in the sky award

絵空事で賞

[[2012/grothe]]

Most conspiratorial

もっとも共謀的

[[2012/hou]]

Most useful obfuscation

もっとも便利な難読化

[[2012/kang]]

Best short program

最高のショートプログラム

[[2012/konno]]

Best one liner

最高のワンライナー

[[2012/omoikane]]

Most surreptitious

もっともこっそり

[[2012/tromp]]

Most functional

もっとも関数的

[[2012/endoh1]]

Most complex ASCII fluid - Honorable mention

もっとも複雑なASCII流体 - 選外佳作

[[2012/vik]]

Best use of cocoa - Bronze award

ココアの最高の使い方 - 銅賞

[[2012/hamano]]

Most elementary use of C - Silver award

Cのもっとも初歩的な使い方 - 銀賞

[[2012/zeitak]]

Balanced use of obfuscation - Gold award

バランスの良い難読化の使い方 - 金賞