JOL2020-5 の攻略

問題文
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言語
ウルドゥー語
問題形式
📜ロゼッタ
難易度
★★★★★

ヒント 1

まずは単語の意味の特定をする。

と最後の単語(hãĩ など)は一旦無視してよい。

ヒント 2

時制の表現方法を特定する。

ヒント 2-1

最後から 2 番目の語が動詞。

ヒント 2-2

母音の使い分けは後回しで良い。

答え
  • 現在形「~する」:動詞に -tV を付ける
  • 現在進行形「~している」:動詞に rahV を付ける
  • 過去形「~した」:動詞に -V を付ける

V には āī が入る。

ヒント 3

残りの要素は次の通り。

  • が挿入される条件(主語のあとに挿入される)
  • が証入される条件(目的語のあとに挿入される)
  • 動詞の suffix の母音 ā/ī
  • 文末の単語 hū̃/hãĩ/hai

これらの使い分けは、非常にむずかしい。

文を 2 つのグループに分けて考える必要がある。非常に癖のある分け方をする。

ヒント 3-1

ありがちなグループ分けは、次のような基準だろう。

  • 自動詞と他動詞
  • 現在形と過去形

残念ながら、どちらでもない。これらを組み合わせた条件で分ける必要がある。 に注目するとよいかも。

ヒント 3-2

他動詞かつ過去形の場合だけ、別の構文になる。そのうえで整理する。

答え

自動詞、または現在形の場合:

  • 目的語が名詞なら を後置する
  • 動詞の suffix は、主語が男性なら ā 、女性なら ī
  • 文末の単語は、主語が一人称なら hū̃ 、二人称なら hãĩ 、三人称なら hai

他動詞かつ過去形の場合:

  • 主語のあとに を置く
  • 動詞の suffix は、目的語(主語ではない!)が男性なら ā 、女性なら ī
  • 文末の単語は hai で固定
余談

これは分裂能格という現象をテーマにした問題になっている。

英語や日本語は対格言語といい、自動詞の主語と他動詞の主語を同じように扱う。一方、能格言語は、自動詞の主語と他動詞の目的語を同じように扱う。ウルドゥー語の過去形は、動詞の suffix が自動詞の主語または他動詞の目的語の性によって āī を使い分けており、これは能格の特徴と言える。

そして分裂能格は、基本は対格だが、ある条件のときだけ能格になる現象を言う。ウルドゥー語は、過去形の場合だけ能格になる。

正直、他動詞かつ過去形の例文(つまり を使う文)が 2 つしかないので、与えられたデータだけから確信を持って解くのはちょっと厳しい。分裂能格を知っていることが前提の問題なのかも(ヒンディー語・ウルドゥー語は分裂能格の代表的な言語)。 を使う例文がもっとあれば、この問題の印象はだいぶ変わってきた気がする。