JOL2019-4 の攻略

問題文
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言語
イヌクティトゥット語
問題形式
📜ロゼッタ
難易度
★★★★★★★

ヒント 1

どの単語がおおよそ何を意味しているかを特定する。特にむずかしさはないはず。

さらなるヒント

語順は「主語 - (目的語) - 動詞」。

ヒント 2

動詞の suffix の傾向を大まかに掴む。

ヒント 2-1

「あなたが」の表現方法を探す。

答え

最後に -ᑎᑦ がついたら二人称。

ヒント 2-2

現在形と過去形の表現は?

-ᓯ- を理解するのは極めて困難なので、一旦無視するとよい。

答え
  • 現在形は -ᕗᖅ または -ᑐᖅ または -ᕙᖓ で終わる
  • 過去形は -ᓚᐅᖅᑕᖓ で終わる
ヒント 2-3

-ᕗᖅ-ᑐᖅ はなんとなく似ている。

-ᓚᐅᖅᑕᖓ の最後の -ᑕᖓ-ᕙᖓ もなんとなく似ている。

これら 2 グループの違いを考える。

答え

目的語が「その~」だと -ᑕᖓ-ᕙᖓ になる。

ヒント 3

名詞の suffix を分析していく。

ヒント 3-1

文 1 と文 6 の主語はどちらも「その北極熊」だが、形が異なる(ᓇᓅᑉᓇᓄᖅ)。「その魚」なども参考に、理由を考える。

答え

目的語が「その~」かどうかで変わる。目的語が「その~」なら、最後の上付き文字 が消え、最後の文字に点が付き、上付きの がつく。

ヒント 3-2

目的語の suffix も分析する。基本的に「ある~」の場合だけ何かがつく。

答え

「ある~」の目的語には -ᒥᒃ がつく。細かい上付き文字の変化を完璧に解くのは無理だと思うので、雰囲気で。

ヒント 4

よくわからない -ᓯ- について一応考える。

文 6 の ᑭᕕᒃ「育てる」には -ᓯ- が挿入されているが、文 11 には挿入されていない。違いは?

答え

ここまで何度も出てきた、目的語の定・不定に応じて挿入される。

文 2 ᑕᑯ「見る」は「ある川」が目的語なのに -ᓯ- が挿入されないじゃないか! と思ってしまうが、これが挿入されるかどうかは動詞によって決まっているらしい。

Wikipedia の “Inuit grammar” によると、ᑭᕕᒃ「育てる」など一部の動詞は「目的語が定」専用とのこと。そのような動詞に -ᓯ- をつけると、「目的語が不定」用に変換できるらしい。
余談

この当時の JOL は理詰めで完答させるつもりが最初からなく、「言語学センスと勘で 80 点を目指せ!」という雰囲気の問題が多い印象。個人的には、推理力とひらめきと言語学の基礎知識と無限の時間があれば 100 点が取れる問題のほうが好き。

難易度 7 は、与えられたデータだけから完答を目指す難易度として評価した場合。ただ、不完全な分析と勘でも 8 割くらいは取れそうなので、そういう意味なら難易度 4 くらいかも。