- 問題文
- 言語
- アオ語のチュンリ方言
- 問題形式
- 🔢命数法
- 難易度
- ★★★★☆
APLO2024-5 の攻略
ヒント 1
何進数であるかを推定する。1 の位の数詞を集めて数えるのが定石。
ヒント 1-1
式 (3) で ti
が単体で出ていることから、metsv̥ maben ti
は metsv̥
が上位桁で、maben
のあとに 1 の位の数詞が来ると予想できる。
ヒント 1-2
式 (5) では、ana
が単体で出ており、かつ te-ri ana
という出現もある。
また、式 (1) に metsv̥-ri asv̥m
がある。
よって、X-ri Y
の Y
も 1 の位の数詞だと予想できる。
答え
1 の位の数詞は 9 個(ka
, asv̥m
, pezv̥
, pungu
, tv̥ko
, tenet
, ti
, ana
, trok
)。よって、10 進数と仮定して進める。
ヒント 2
pungu
を特定する。少なくとも 2 つの方法がある。
- ヒント 2-1:式 (4) と (9) から考える方法
- ヒント 2-2:式 (2) と (8) から考える方法
ヒント 2-1
式 (4) の右辺は、1 の位の数字がないので、おそらく「キリのいい数字」だと予想できる。
1 の位がゼロでない数字同士のかけ算でキリが良くなるということは、trok
か pungu
のどちらかは 5 だと予想できる。どちらか。
答え
trok
が 5 だとしたら、式 (9) の説明がむずかしい(左辺が n × 5 なら、右辺の 1 の位も 5 になるはず)。よって pungu
が 5 。
ヒント 2-2
pungu
を特定するもう一つの方法。式 (2) と (8) の mod 10 を考える。
答え
pezv̥ + pungu = tv̥ko (mod 10)
pezv̥ - pungu = tv̥ko (mod 10)
これを満たす pungu
は 5 しかない。
なお、X maben Y
が X - Y を意味している可能性をきちんと議論していないが、それでも成り立つはず。
ちなみに、仮に 12 進数の可能性を考えると、pungu
は 6 ということになる。しかしそうすると、metsv̥ maben ti
は 12 + 6 や 24 - 6 を表現していると考えるのが妥当で、pungu
も ti
も 6 ということになってしまい不自然。
ヒント 3
X maben Y
の表現方法を考える。ありがちなのは次の 3 つか。
- X + Y
- X - Y
- X - 10 + Y (X に向かう途中の、下一桁が Y の数字)
このうち、1 つは否定できる。
さらなるヒント
X maben Y
が X - Y だとしたら、metsv̥
= 20 、ti
= 2 の可能性が高くなる。
答え
式 (3) が tenet
+ 2 = 15 になるので、tenet
= 13 という不自然な数詞になってしまう。また、式 (6) の解釈がむずかしくなる。
よって、X maben Y
は X + Y か X - 10 + Y で、ti
= 8 となる。自動的に tenet
= 7 も決まる。
ヒント 4
あとは、mod 10 を使って算数パズルを繰り返すことで 1 の位の数詞がすべて決まる。詳細略。
ヒント 5
式 (4) を計算すると、lir anasv̥
= 80 となる。ここから、式 (9) に注目すると、X maben Y
の意味が確定する。
答え
式 (9) の右辺は 80 maben 8
。これが 80 + 8 = 88 だとしたら、trok
(6)の倍数にならない。
よって X maben Y
は X - 10 + Y であり、metsv̥
= 20 。
また、X-ri Y
は X + Y と考えられる。
あとは、10 の位で算数パズルを行い、すべての数詞を確定させることができる。
ヒント 6
設問 (b) の「もしも与えられたデータから正確な表現を導き出すことができないなら、可能と考えられるすべての表現を書きなさい」に注意する。
この表記体系は曖昧か?
ヒント 6-1
X maben Y
と X-ri Y
の Y
の数詞を観察する。
答え
Y
が 1 ~ 4 の場合はX-ri Y
が使われている。Y
が 5 ~ 9 の場合はX maben Y
が使われている。
よって、表記体系自体は曖昧ではない。
ヒント 6-2
設問 (b) の注意書きは、表記体系の曖昧さを指摘しているわけではない。音韻的な問題を指摘している。
答え
lir
(40)に -ri
を付けると liri
になっている。つまり、teri
や rokv̥ri
から -ri
を取り除いた場合の原形は不明。
よって、10 の数詞は te
と ter
の 2 つを答える必要がある。rokv̥
/ rokv̥r
も同様。