- 問題文
- 言語
- ワユ語
- 問題形式
- 📜ロゼッタ
- 難易度
- ★★★★★★
APLO2022-2 の攻略
ヒント 1
設問 (a) は非常にかんたん。音節に区切って観察する。
答え
- 第 1 音節が長音なら、その音節に強勢が置かれる。
- それ以外で、第 2 音節の子音が
ʔ
なら、第 3 音節に強勢が置かれる。 - それ以外の場合、第 2 音節に強勢が置かれる。
ヒント 2
所有者の表現を考える。単純に「私の」や「君の」などの共通点を探せば良い。日本語訳の単語の間に共通の語彙がないので、複雑な規則であることは考えにくい。
答え
第 1 音節が所有者を表している。
tV-
「私の」wV-
「私たちの」pV-
「君の」hV-
「君たちの」nV-
「彼の」or「彼らの」
V
は母音で、どの母音が来るかは現時点では不明。また、nV-
の判別方法は現時点では不明(曖昧であるケースもある)。
ヒント 3
ここまでの知識を使って、設問 (c) や (d) の暫定解答を作成すると良い。それによって知見が得られる可能性がある。
さらなるヒント
設問 (c) の 3 touʃu
は「私の祖母」と考えられる。データにある nuːʃu
「彼の祖母」と照らして、「祖母」の原形を思い浮かべる。
答え
「祖母」は uʃu
。nuːʃu
は nu
+ uʃu
と分析する必要がある。
つまり最初の音節の長音は、単語の原形が母音から始まっていて、かつ prefix の母音が一致するときに現れる。
ヒント 4
最後に、第 1 音節の母音の決定方法を考える。これは飛び抜けてむずかしい。
ヒント 4-1
直後の音節(つまり第 2 音節)によって変化する。意味によって変わったり、第 2 音節より先の音節から影響を受けたりすることはない。
ヒント 4-2
所有者ごとに使われる母音を列挙して観察する。
t-
の母音:a
,e
,o
,o
w-
の母音:a
,e
p-
の母音:i
,u
,ɯ
,e
h-
の母音:a
,i
,ɯ
n-
(彼)の母音:i
,u
,ɯ
,o
n-
(彼ら)の母音:a
,e
,o
2 つのグループに分けることができる。
答え
t-
、w-
、n-
(彼ら)のグループ:a
を使うグループp-
、h-
、n-
(彼)のグループ:i
やu
やɯ
を使うグループ
ヒント 4-3
ここまでの知識で設問 (d) の暫定解答を作成してみる。
ˈpeːʔiraka
「君の代理人」をw-
「私たちの」に変えるhɯˈtouta
「君たちの皮膚」をn-
「彼らの」に変えるˈneijaːsɯ
「彼らの義母」をn-
「彼の」に変えるnipeʔe
「彼の左手」をt-
「私の」に変えるˈpɯːliːhana
「君のネックレス」をt-
「私の」に変えるtaˈʃunuː
「私の妹」をh-
「君たちの」に変える
ヒント 4-4
現状をまとめる。
t-
、w-
、n-
(彼ら)のグループ:
a
:ʃu
,ʔɯ
,hap
,ʃi
,sɯ
,se
,pa
,ʔa
,mɯ
e
:ʔe
,ʔi
,mia
,me
,pi
,i
o
:so
,hu
,u
p-
、h-
、n-
(彼)のグループ:
ɯ
:ʃo
,tou
,ʃe
,ʃi
,sa
,mɯ
,ɯ
u
:tu
,u
i
:mia
,hi
,pe
a
:ʔa
e
:e
あとは、ここから気合で規則を見つけ出すしかない。
ヒント 4-5
音韻論の知識をフル活用して整理する。
m
とp
は似た子音なので、同じ扱いを受けやすいʔ
やh
や無子音も同じ扱いを受けやすいs
とʃ
(場合によってはt
も)も同じ扱いを受けやすい
また、母音調和の傾向も踏まえて考える。
答え
t-
、w-
、n-
(彼ら)につける母音:
e
:後続の子音がʔ
、h
のいずれか、かつ、後続の母音がe
かi
e
:後続の子音がm
、p
のいずれか、かつ、後続の母音がe
かi
o
:後続の子音がs
、ʃ
、t
のいずれか、かつ、後続の母音がo
o
:後続の子音がʔ
、h
、子音なしのいずれか、かつ、後続の母音がo
かu
a
:それら以外
p-
、h-
、n-
(彼)につける母音:
i
:後続の子音がm
、p
のいずれか、かつ、後続の母音がe
かi
u
:後続の子音がs
、ʃ
、t
のいずれか、かつ、後続の母音がu
- 後続の母音をコピー:後続の子音が
ʔ
、h
、子音なしのいずれか ɯ
:それら以外
余談
母音の選び方以外は非常のかんたんだが、母音の選び方は異常にむずかしい。最終的な答えを見ればわりと規則的なのだが、このデータから見出すのはかなり難しい(というか自分には無理)。
母音の選び方がわからなくても半分以上の設問は雰囲気で解答できるようになっているので、実践では暫定解答だけ作成し、深みにハマらずに他の問題をやるのが正解かも。