IOCCC 2004の解説

全体の印象

3年ぶりのIOCCCは、過去最高のクオリティと言った前回(2001年)以上にハイクオリティな大会となった。 実装難度が高そうな作品が多いが、それだけでなく、最終的な挙動単体でも楽しめる工夫されている作品が多い。

Best of Showである[[2004/gavin]]は、32ビットマルチタスクOS。 低レイヤ系作品の到達点。

この年の最大の特徴は、数学に基づいた難読化が登場したことだと思う。 [[2004/kopczynski]]は、位相幾何学を背景に持つワンライナー。 kopczynski.hintに解説がなければ解読不能だった(それも十分な解説ではないので、理解するのに苦労した)。 オイラー標数をそのまま出力するだけでは物知り顔なだけだが、OCRというわかりやすい(そしてミスリーディングな)説明を装っているのもすばらしい。

[[2004/jdalbec]]も、それ自体は単なる数字遊びだが、挙動やテーマの意味を理解するために数学的背景を把握する必要があり、非常にハイコンテクストな作品だった。

[[2004/vik1]]はX11でのレーシングゲーム。 非常によく作り込まれていて気楽に楽しめるが、そのコードの小ささをみると戦慄すら覚える。

[[2004/omoikane]]は、[[2000/dhyang]]につぐアニメキャラアスキーアート作品。 同作者は今後IOCCCで常に勝つ常連となり、アニメキャラ枠が定番化していく。

いずれも実装に多大な時間を要したと思われる大作ぞろいだが、その中で[[2004/schnitzi]]はアイデア一本勝負のシンプルな作品で、これも非常に良い。

この年の賞名は”Best Use of”や”Best Abuse of”のようなものが多い。

入賞作品一覧

[[2004/anonymous]]

Best use of "Precious" Lines

「いとしい」行の最高の使い方

[[2004/arachnid]]

Best use of Vision

視界の最高の使い方

[[2004/burley]]

Best Calculated Risk

最高の計算されたリスク

[[2004/gavare]]

Best Use of Light and Spheres

ライトと球の最高の使い方

[[2004/hibachi]]

Best Abuse of the Guidelines

ガイドラインの最高の悪用

[[2004/hoyle]]

Most Functional Output

もっとも関数的な出力

[[2004/jdalbec]]

Best Abuse of the Periodic Table

周期表の最高の悪用

[[2004/kopczynski]]

Best one-liner

最高のワンライナー

[[2004/newbern]]

Best Font Engine

最高のフォントエンジン

[[2004/omoikane]]

Best Utility

最高のユーティリティ

[[2004/schnitzi]]

Best Non-Use of Curses

cursesの最高の不使用

[[2004/sds]]

Best Abuse of Indentation

インデントの最高の悪用

[[2004/vik1]]

Best X11 Game

最高のX11ゲーム

[[2004/vik2]]

Best Abuse of CPP

最高のCPP悪用

[[2004/gavin]]

Best of Show

最優秀賞